[ 発信者:JCS ]
≪インドネシア版:前半≫では、インドネシア出身のコ・フェスタアンバサダーの皆様に、自国のメディアコンテンツ市場の現状、可能性についてお話して頂きました。今回は「今、インドネシアの若者が求める日本コンテンツ」と題したインタビューを元に、実際の声を紹介していきたいと思います。
まず前回から引き続き、アンバサダーの皆様を紹介します。
(左)ナディラさん:早稲田大学大学院1年生。専攻は経済学。
興味を持ったきっかけは、以前日本に3年間住んでいた頃に観ていた「名探偵コナン」、「天才テレビくん」。
(中)プリタさん:拓殖大学国際学部2年生。交換留学生で今年4月から1年間日本に滞在の予定。主に日本語、日本文化の勉強。
興味を持ったきっかけは「クレヨンしんちゃん」。
(右)マディナさん:早稲田大学大学院1年生。専攻は環境研究。
興味を持ったきっかけは、テレビで放送されているアニメ、「ドラえもん」、「セーラームーン」、「カードキャプターさくら」。現在は日本のドラマが好きでよく観ている。
― 今は日本のどんなコンテンツを消費していますか?
ナディラ:「日本に来てから日本のドラマやバラエティを観る様になりました。また、バラエティも面白いですね。日本のドラマからは、日本の社会や考え方、単語などを観て学びます。例えば刑事ドラマをよく観るのですが、難しい単語も学べるし、ひとつの事件から「そんな考え方があるのか」と知ったり、面白いだけでなく、インスピレーションを受けます」
― インドネシアのドラマはどんなものなのですか?
ナディラ:「インドネシアのドラマはほとんど「恋愛もの」なんです。しかも毎日放送していて、100話以上あるんです! そうなるとだらだらしてしまい、話の筋やオチがないと感じてしまうのです。だから、若い人には海外ドラマが人気なんです」
プリタ:「また、インドネシアには、教育的なものや家族ドラマというジャンルはないですね」
― インドネシアで日本コンテンツを展開する際、「これは受け入れられないのでは」というジャンルや、障壁となるものが、何かあると感じますか?
プリタ:「インドネシアでは、コンビニの18禁コーナーのようなものは絶対にありえないですね......来たばかりの頃は、ちょっと目をそむけてしまいました!」
ナディラ:「宗教の影響が強いので、露出が多いものや、アンチ=イスラムの要素を含むコンテンツは絶対にNGです。規制も厳しいし、絶対受け入れられないです」
プリタ:「『ドラえもん』や『ちびまる子ちゃん』など、家族で観られる「家族もの」が流行ると思います。」
ナディラ:「『クレヨンしんちゃん』も、最初はお尻を出すシーンがあったので、カットされたりしていました。」
― 先ほど「インドネシアのドラマは恋愛ものばかり」と言っていましたが、キスシーンなどはないのですか?
ナディラ:「ないですね。ハグやほっぺにキスまではありますが、それ以上はないです。映画ならありますが」
― インドネシアで海外展開する際は、あまり宗教的/性的な要素を感じさせない控えめなコンテンツが向いている、ということですね。暴力や出血シーンなどはどうですか?
ナディラ:「暴力や血などはインドネシアのドラマにも割とあります。R17の規制もありますが、普通に有ります」
プリタ:「親が子供に、コンテンツをみせる/見せないの判断をしている場合が多いです」
ナディラ:「また、『リング』など、日本のホラーも一部には人気です」
― ご自身や周りにも宗教が大きな影響の比重を占めていると感じますか?
プリタ:「宗教の影響も強いですが、「家族単位の規則」が一番大切ですね。「親の言うことは絶対聞く」、ということが小さい時から当たり前なんです」
ナディラ:「宗教の躾が厳しい家族も、ゆるい家族もいて、イスラム教徒じゃない人々ももちろんいますが、全体の風潮として「親の言うことを聞く」ことは守られています。学校でも宗教に基づいたモラルや価値観で教育されていると思います」
― 宗教が重んじていることを尊重したコンテンツ選びが重要ということですね。
プリタ:「そういう意味で家族ものが求められているのに、インドネシアでは家族ドラマはなぜか作られてないんです!」
― 日本のコンテンツの情報はどうやって得ているのですか?
プリタ:「やはりインターネットが中心ですね。現地のテレビでは日本の番組はあまり放送されていないし、日曜日しかアニメが放送されないので。」
ナディラ:「WAKUWAKU JAPANというインドネシア語で日本コンテンツを専門に発信するチャンネルがあって、私の周りでは観ている人が多いです」
― なるほど、みなさんWAKUWAKU JAPANを観ているのですか?
全員:「はい!」
― インドネシアでコンテンツのマーケティングをする際、やはりインドネシア語の方が良いのですか?
ナディラ:「そうとも限りません。簡単に言うと、英語表記のほうがカッコよく見えて、よりおしゃれな印象を与えてくれます。インドネシア語より英語のほうが表現が豊かであることもひとつの理由かと思います。若者の間で人気のおしゃれなカフェや洋服ブランドは、必ずと言っていいほど英語表記を使っています。なのでショッピングモールに行くと英語の広告版ばかりです。
広告で使う言語はやっぱり企業やお店側がターゲットにしている消費者層に合わせて決めていると思います。富裕層や上位中間層向けの場合は英語、それ以外だとインドネシア語表記というパターンが多いかと思います。なぜなら富裕層のほうがしっかり教育を受けていて英語を理解しているからです。これは日本コンテンツのマーケティングにも言えることだと思います」
― CoFestaアンバサダーの経験を通して、将来日本コンテンツとどう関わっていきたいですか。
プリタ:「去年から、インドネシアに日本のアーティストが来た時のアテンドの仕事をしていたので、来年また帰ったらそのような音楽関係の仕事がしたいです。flumpoolやCHEMISTRYの川畑要さんなどのアテンドをしました。でも、卒業したら日本で働きたいです」
マディナ:「インドネシアで日本関係のイベントやコンサートがあったら、友達を誘ったり、おすすめ日本コンテンツを紹介し続けたいです」
ナディラ:「私は記事を書くことで、日本コンテンツに関わりたいと思っています。例えば、自分の体験からも、「日本コンテンツから学べること」を、インドネシア人に向けて発信するためインドネシア語で書きたいと思っています。ブログや新聞などもそうですが、今はFacebookやTwitterで発信することから始めています」
ナディラさん、プリタさん、マディナさん、2回に渡って本当にありがとうございました!
次回Vol.4は ≪メキシコ版≫をお送りします。
自身のYoutubeチャンネルで6300人を超すフォロワ―を持つ方に、メキシコ、南米のメディアコンテンツ市場について貴重な証言を頂きました。お楽しみに!
vol.1 :コ・フェスタアンバサダーに学ぶ、日本コンテンツを取り巻く現状 vol.1 ≪アメリカ版≫
vol.2 :コ・フェスタアンバサダーに学ぶ、日本コンテンツを取り巻く現状 vol.2 ≪インドネシア版:前編≫
vol.3 :コ・フェスタアンバサダーに学ぶ、日本コンテンツを取り巻く現状 vol.2 ≪インドネシア版:後編≫
■コ・フェスタとは
http://www.cofesta.jp/
■「コ・フェスタアンバサダー」とは
コ・フェスタ実行本部が、日本コンテンツのファン(外国人消費者) を巻き込み、コ・フェスタの関連イベントやその出展事業者に対して(1)マーケティング活動(消費者の声からマーケットの実態を把握し業界の皆様に届け る)、(2)プロモーション活動(消費者の声を通じて日本コンテンツの魅力をマーケットに伝える)を提供する取り組みです。
国内外で毎年150名をアンバサダーとして認定し、協力を得ています。