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コ・フェスタアンバサダーに学ぶ、日本コンテンツの現状Vol.4 :<<メキシコ版:前半>>

2014.08.05 コ・フェスタ アンバサダー インタビュー

[ 発信者:JCS ]

コ・フェスタアンバサダーに学ぶ、日本コンテンツの現状Vol.4 :<<メキシコ版:前半>>

第4回目は、日本においてあまり重要視されていないと思われる、メキシコを含む中南米での日本メディアコンテンツの可能性についてのインタビューを2回に渡ってお送りします。

今回のインタビュー回答者は、メキシコ出身のエドガルさんです。エドガルさんは現在、早稲田大学大学院で日本のCool Japan政策を専門的に研究する傍ら、YouTubeやPodcastを使い独自の視点で日本コンテンツや文化について情報発信を行っています。



― まず、メキシコのメディアコンテンツ市場が日本コンテンツビジネス業界に重要だとお考えのようですが、その理由を教えて頂けますか?
「日本は南米メディアコンテンツ市場にあまり注目していないように思いますが、私はそれは大変な損をしていると思います。そしてその中でもメキシコは、世界最大のスペイン語圏市場です。また一度メキシコは他の南米諸国の入り口として重要な存在です。例えば『ドラゴン・ボールZ 神と神』が南米でリリースされた時、版権自体を買ったのはメキシコではなくアルゼンチンかチリの会社だと思いますが、最初に売り出した市場はメキシコでした。何故なら、少なくとも現地の会社は、もしメキシコで売れない場合は、他の南米諸国でも上手く行かないということを知っているからです。さらに南米に入ってくる日本コンテンツのほぼ90%がメキシコで字幕・吹き替え版が作られています。前述の『ドラゴンボールZ』もメキシコの声優を使ったスペイン語吹き替え版が制作されました。そのため、南米全土の人が日本コンテンツを観る際、ほとんどがメキシコでつけられた字幕、声優の声で観ているということです。実際、スペイン語バージョンのテーマソングなどを歌っている声優は、メキシコではそこまで有名でないですが、他の南米の国からライブをやって欲しいと招待されたりしているのです。ましてやオリジナルの日本の声優を南米に連れてきたら......? すごいことになると思います」

― 日本コンテンツの場合、メキシコでスペイン語の字幕・吹き替えを行ったものはスペインでは使えるのですか?
「100%ではありませんが、メキシコで作られたスペイン語吹き替えならスペインで使えますが、スペインで作られた吹き替えは南米では使えません。字幕なら大丈夫だと思いますが、南米の人にとって、スペインのスペイン語はアクセントも違いますし聞き慣れていません。スペインで作られたドラマなどだったら別ですが、日本コンテンツの場合はまずメキシコで作ったものは他のどこのスペイン語圏でも大丈夫だと言えます。」

― 南米には、日本のコンテンツファンによるコンベンションやフェスティバルなども多いと聞きましたが、それもメキシコをきっかけに広がったのですか?
「詳しい経緯は把握していませんが事実として言えることは、最初は単なる学生による小さなプロジェクトだったのが、今は巨大なビジネスにまで膨れ上がったということです。例えば、現在南米で一番大きなマンガ・コンベンションはメキシコシティで行われていますが、私が高校生だった時には年1回のイベントでしたが、毎年やる毎に来場者が増えて、今では年4回開催されるイベントです。来場者がたった1回の週末で収まらなくなってしまうほど増加したのです。友人が現在では毎回約3万人の来場者が訪れるそうです。
また、つい先日Facebookで知ったのですが、メキシコのシネテカ・ナショナルという政府機関が今年、メキシコで初めて日本のアニメフェスティバルを開催する運びとなったようです。(スペイン語のみ。http://www.cinetecanacional.net/php/cartelera_ciclos.php?Tit=Anime.%20La%20animaci%C3%B3n%20japonesa%20de%20posguerra%20&ClvCic=1941
これは政府がメキシコでの日本コンテンツの普及を支援しているとを意味しています。」

― そもそも、エドガルさんはなぜ日本のコンテンツに興味を持ち始めたのですか?
「話すと大変長くなりますが(笑)、90年代にTVでアニメが放送され始めた中学生の頃、『聖闘士星矢』などをよく観ていましたが、ある日友達にもらった『エヴァンゲリオン』のVHSがきっかけで、「これは面白い! もっと知りたい!」と思い、どんどん日本のコンテンツに夢中になって行きました。その当時インターネットは普及しておらず、VHSが唯一の選択でかつ値段も中学生にはとても賄えない値段で取引されていたので情報を集めるのが大変でした。大学では国際関係学を選考していたので、アジア太平洋地域のことについて歴史、経済、外交関係などの側面から日本について研究しました。また大学ではアニメクラブも立ち上げ、自ら情報発信をするようになりました」

― エドガルさんのYouTubeチャンネルとPodcastについて、どのように運営しているのか少し教えて頂けますか。
「YouTubeでは日本での暮らしをスペイン語で紹介する"World Meets Japan"というチャンネルを運営しています。テーマは「チャレンジ」で、準備をする時間があまりない時は、ただ居酒屋へ行って珍しい物を注文したり、視聴者からのリクエストで変わった食べ物(先日は「馬刺アイスクリーム」というものを食べに行きました。)を食べに出かけたりする様子を撮影してチャンネルにアップロードします。他には納豆、ティースプーン一杯のわさびを食べてみたり、まぐろのお頭などにも挑戦しました。海外から日本の実際の暮らしについてアクセス出来る情報が少ないので、単にコンビニに行き日本限定の物を撮影するだけでも、海外から見たら面白いと思うのです。フォロワーは昨年の9月にスタートしてから、もう既に6,300人を超えました。それだけ、日本の暮らしについて興味を持っているスペイン語圏の人が多いか分かりますね。」

Podcastの方は英語で発信していて、YouTubeよりももう少しアカデミックでフォーマットも決まっています。大学の仲間と3人で収録しているのですが、毎回、まずは最近日本で話題になっているニュースについていくつか取り上げ、それについて互いに意見を出し合い討論します。それからその回のトピックに移ります。これには少し準備が必要で、間違った知識や情報を与えたくないので、いくつか文献やニュース記事も読むようにしています。2014年の2月に始めたためまだ11話しかないのですが、登録者は200人近くになりました。毎回エピソードを追加すると、視聴者からフィードバックや話して欲しいトピックのリクエストなどのメールを受け取るので、責任とやりがいを感じています。」

※YouTubeチャンネルはこちら:youtube.com/worldmeetsjapan
※PodcastはiTunesで"Living Japan"もしくは こちらから:livingjapanpodcast.wordpress.com


エドガルさん、非常に専門的な証言をありがとうございました。エドガルさんのインタビューは次回に続きます。次回はさらに、トイやグッズなどメディアコンテンツにとどまらない可能性や、他のアジア諸国、アメリカのコンテンツとの比較についてもお話ししてもらいます。お楽しみに!

vol.1 :コ・フェスタアンバサダーに学ぶ、日本コンテンツを取り巻く現状 vol.1 ≪アメリカ版≫
vol.2 :コ・フェスタアンバサダーに学ぶ、日本コンテンツを取り巻く現状 vol.2 ≪インドネシア版:前編≫
vol.3 :コ・フェスタアンバサダーに学ぶ、日本コンテンツを取り巻く現状 vol.3 ≪インドネシア版:後編≫

■コ・フェスタとは
http://www.cofesta.jp/

■「コ・フェスタアンバサダー」とは
コ・ フェスタ実行本部が、日本コンテンツのファン(外国人消費者) を巻き込み、コ・フェスタの関連イベントやその出展事業者に対して(1)マーケティング活動(消費者の声からマーケットの実態を把握し業界の皆様に届け る)、(2)プロモーション活動(消費者の声を通じて日本コンテンツの魅力をマーケットに伝える)を提供する取り組みです。
国内外で毎年150名をアンバサダーとして認定し、協力を得ています。

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