Japan Content Showcase 2014

  • TIMM
  • TIFFCOM2014
  • Tokyo International Anime Festival

コ・フェスタアンバサダーに学ぶ、日本コンテンツの現状Vol.6 :<<タイ版>>

2014.09.02 コ・フェスタ アンバサダー インタビュー

[ 発信者:JCS ]

タイ出身のギフトさんには、これまでで一番「オタク」なご意見を頂くことが出来ました。最初はオタクや腐女子コミックの話が中心でしたが、意外なタイの出版事情、デジタル配信のヒントになる証言まで頂きました。まだまだ開拓の可能性がありそうなタイ市場。是非ギフトさんの声をお聞き逃しなく!







ーまずギフトさんのことについて、簡単に教えて下さい。

ギフト:「タイ出身のギフトです。現在は東京大学大学院の博士課程の学生で、日本に住んで8年になります。研究では「ニコニコ動画」の「歌い手」と呼ばれるインターネットから発生した歌手の現象について論文を書いています。修士課程でも、「コミティア」と呼ばれるコミックマーケットについて論文を書きながら、スタッフとして運営にも携わっていました。趣味は「オタク」と呼ばれるようなことで、特にボーイズラブ系のコミックが好きなので「腐女子」であり、「ニコニコ動画」ばかり見ている「ニコ厨」です!」


ーそもそも、タイでこのようなオタク文化、腐女子文化に出会ったきっかけを教えて下さい。
ギフト:
「「プリンセス」や「ボニータ」などの日本のコミック雑誌が、一部タイ語に翻訳されているのを読んだのがきっかけです。その中に、軽く「ボーイズラブ」的要素があるコミックに出会いました。しかしタイでは、ボーイズラブのようなテーマはタブー視されています。私の母が知ったらきっとショックを受けると思います。まず、コミックやアニメでアダルトコンテンツが作られているということ自体タブーなのです。タイではコミックやアニメは子ども向けのコンテンツなので、決して考えられないことなのです。しかしここ5年程で新しいレーティング・システムが導入され、18禁などの基準が出来たため、このようなジャンルも一般に出てきたと言えます。」


―ギフトさんがアニメや漫画が好きなように、タイでも一般的には日本のメディアコンテンツと言えば「アニメ」、「マンガ」なのでしょうか。

ギフト:「そうですね。特にタイでは日本の実写映画を上映している映画館が少ないため、単純に機会がありません。劇場のメインストリームはもちろんハリウッドで、日本のコンテンツはオタクにしか知られていないような気がします。しかし日本の実写映画よりも今は、ドラマの方が人気だと感じています。かつては韓国ドラマも人気でしたが、今は日本ドラマが取り戻していると思います。」


ー日本コンテンツのタイ語字幕や吹き替えは多いのですか?そもそもタイ語で日本コンテンツの情報は十分に得られるのでしょうか?

ギフト:「まったく十分ではありません!それに、ライセンスを買った後も、ローカライズの過程が非常にゆっくりで、10年くらいかかったコンテンツもあります。ですので、日本で流行っているものとタイで得られる情報に、致命的なタイムラグがあると思います。
それに翻訳のクオリティが良くないことも多いですし、印刷技術が低いので、タイでマンガを読む時には指が真っ黒になってしまうのです。」


--そのような問題は、逆にデジタル配信に非常に前向きな効果をもたらすのではないですか?

ギフト:「そうだと思います。特に私の周りはインターネットでコミックを読むことにも抵抗が無いですし、そこまで値段が高すぎなければ買うと思います。それにアンドロイドの値段も非常に安く、普及しているので、デジタル配信を考えるのは有利かもしれません。」


―普段どのようにして日本コンテンツの情報を得ているのか教えて頂けますか?

ギフト:「タイには「パンティプ(Pantip)」と呼ばれる面白いインターネット掲示板があります。その掲示板「オススメ枠」で一度取り上げられると多くのメディアが注目します。以前、日本のラーメン屋さんが取り上げられたことがあり、それにより日本で多くの人が訪れたり、タイでラーメンブームが起きたこともありました。ここに掲載出来れば間違いないという感じですが、問題はどうやってこの「オススメ枠」に取り上げてもらうかです。そのためにはSNSの情報伝達の速さについて理解している必要があります。
さらにタイはLINEの2番目に大きい市場で、非常に多くの人が利用しています。スタンプが非常に人気で、タイ語でのスタンプもあります。」


―なるほど、パンティプは日本のメディアコンテンツのマーケティングにおいても、非常に有効かもしれませんね。

ギフト:「最近はタイ人向けの観光ビザの基準が緩和されたため、日本旅行や観光のトピックが多いですが、コンテンツもトピックに上がれば話題になるのは間違いないです!」


―コンテンツビジネスとは関係ないですが、タイには本名ではなくニックネームで呼ぶ習慣がありますよね。(「ギフト」さんもニックネーム)

ギフト:「少し前までは英語名が多かったですが、最近では日本名を選ぶ人が増えているのです。それも、「ガンダム」や「シンブン」という単語をニックネームにする人もいます。タイの人にとっては響きが可愛いのです!」


それは大変面白いですね・・・! ギフトさん、インタビューにご協力ありがとうございました。
次回は<<フィリピン版>>をお送りします。お楽しみに!



vol.1 :コ・フェスタアンバサダーに学ぶ、日本コンテンツを取り巻く現状 vol.1 ≪アメリカ版≫
vol.2 :コ・フェスタアンバサダーに学ぶ、日本コンテンツを取り巻く現状 vol.2 ≪インドネシア版:前編≫
vol.3 :コ・フェスタアンバサダーに学ぶ、日本コンテンツを取り巻く現状 vol.3 ≪インドネシア版:後編≫
vol.4 :コ・フェスタアンバサダーに学ぶ、日本コンテンツを取り巻く現状 vol.4 ≪メキシコ版:前編≫
vol.5 :コ・フェスタアンバサダーに学ぶ、日本コンテンツを取り巻く現状 vol.5 ≪メキシコ版:後編≫

■コ・フェスタとは
http://www.cofesta.jp/

■「コ・フェスタアンバサダー」とは
コ・ フェスタ実行本部が、日本コンテンツのファン(外国人消費者) を巻き込み、コ・フェスタの関連イベントやその出展事業者に対して(1)マーケティング活動(消費者の声からマーケットの実態を把握し業界の皆様に届け る)、(2)プロモーション活動(消費者の声を通じて日本コンテンツの魅力をマーケットに伝える)を提供する取り組みです。
国内外で毎年150名をアンバサダーとして認定し、協力を得ています。

Japan Content Showcase 2014 にいいね!する